三桃シ倒語の日記

お前の枠にはまってたまるか

猫に触れたい

トレーニングルームの道すがらにある小さな公園で、美しい毛並みの三毛猫がお年寄りの足元に擦り寄っていた。その様子を一瞥して、トレーニングルームに向かった。

トレーニングを終えてその公園に行き、辺りを見回した。三毛猫の姿は見えなかった。

 

何故、猫に惹かれるのだろう。

ツンと伸びた耳、大きな瞳、しなやかな身体。

櫛のような細かな突起のある舌はその身を美しく整え、見る者を魅了する。ふわふわ、とか、もふもふ、と表現される。

しかし、相手はきっと野良猫だ。一瞬だけ愛情を注いで、さようなら、と手を振るようなことは、人間のエゴだ。それなら終生絶え間なく愛情を注ぐか、あるいは遠目で見守るしかない。

残念ながら、今の私には後者しかできない。

だから、私は……。

 

ああ、でも……。

 

その猫の幸せとは何なのか。

テリトリー争い、病気や怪我を恐れながら、この世界を自由に歩くことなのか。

寒さも暑さも知らずに、お腹を空かせることもなく、小さな世界で生きることなのか。

 

その猫だけが知っている。